takesumisunのブログ

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【あんガル】黒森すずとの夏休み~1日目④~

カレーを煮込んでいる間はテレビを観て時間を過ごした.

 底が焦げないように時々様子を見に行く.

 この時にお米を炊き忘れた!なんてお約束はしない.すず姉が事前にセットしてくれていたから後は出来る時間に合わせてスイッチを押すだけだった.

 ニュース番組が終わり,ゴールデンバライティ番組が始まった.

 うちはいつもTOKYO敏腕DASHを観ているが,すず姉はどうだろうか.一応観たい番組があるか聞いてみた.しかし,すず姉は普段テレビをあまり観ないらしい.俺にチャンネル権を譲ってくれた.

 すず姉は普段この時間は何をしているのか訊こうとしたが,なんとなく訊きずらい感じがした.

 すず姉は初めて観るらしく,とても不思議そうに観ていた.

 こいつらはアイドルじゃないのか?なんで農作業なんてやっているんだ?といいたげな顔をしている.確かになんで農作業をしているのかは不明だが,アクティブなアイドルでやっているのだと俺は認識している.

 テレビを観ている時,会話はなかった.

 すず姉が真剣な表情で観ているものだから,少し声が掛けずらいのだ.

 しかしいつまでも無言なのは気まずい,何か話題を振ろうかと思ったとき.

 ピー!ピー!

 ご飯が炊ける音が鳴った.

 俺はご飯を混ぜに行き,すず姉はカレーの様子を見に行った.

「・・・ん,ジャガイモもいい感じだ.弟くん,少し試食してくれないか」

 ルーの入った小皿を受け取る.少し熱かったが味付けは問題ない,と思う.

「うん,美味しいよ」

「そうか,よかった」

 胸を撫で下ろして,ほっと一息ついた.

「では,サラダを作ろうか」

「え?盛り付けるんじゃないの?」

「カレーだけじゃバランスも悪いし,見た感じさびしいだろ.それにご飯は炊きたてじゃなくて,少し置いたほうがいいんだ」

 へーそうなのか.意識したことなかったな.

「では弟くん.キュウリを薄切りに・・・するから手本を見ていてくれ」

「う,うん」

 トントントン.とリズムよく刻んでいる.

 見た感じ,ジャガイモよりは楽そうだ.

 半分までやってもらい,後は自分でやってみるが・・・これが結構難しい.同じ薄さで切れないし,すず姉のと見た目が雲泥の差ほどある.

 悪戦苦闘しながらも,なんとか全部(半分)切り終えたころには,すず姉が他の作業を全部終わらせていた.キュウリ待ちだったようだ.

 いくらサラダが早くできるといっても一分やそこらじゃできないはずだから・・・どんだけ時間かかっていたんだ俺は.

 改めて自分の料理出来なさを痛感した.

 

 

 

「「ごちそうさまでした」」

 二人そろって挨拶をして,食器を片づけた.

 流石にお昼ほどは食べなかったが,それでもおなか一杯になった.

 明日の朝分も考えて三合炊いたが,ほぼ空になった.少し余ったのは,すず姉が夜食用にとおにぎりにしてくれた.

 

 

その後またテレビを観ながら時間を過ごした.

 洗い物も終わり,課題も今日分は終わっているので,結構暇だった.

 けどすず姉はそうはいかないよな.受験勉強してるイメージはあんまりないけれど,たぶんやっているんだよね.

 今は俺に合わせてテレビを観ているけど,本当は勉強したいはず!

 ・・・もう部屋に案内したほうがいいかな?荷物も多そうだし,そうしよう.

「すず姉」

「ん?どうした」

「部屋に荷物置きに行く?」

「あぁ,そうだな」

「荷物はこれと,ギターケースだけ?部屋まで持っていくよ」

「あ,それくらい自分でやるぞ」

「いいって.これくらい運ばせてよ」

 そう言ってささっと荷物を部屋に運んだ.

 部屋に入って思い出したが,そうだ.姉さんからすず姉に渡せって言われてた手紙があったんだ.

 手紙は机の上に置いてあった.

「すず姉,これ姉さんから」

「アンジーから手紙か?」

今の御世代に,わざわざ手紙で書くからにはよっぽど重要なことが書かれているのだろう.俺はそっと退室した.

 

 

 アンジーから手紙か.よっぽど重要なことが書かれているんだろうな.

 弟くんも察してか,スッと退室してくれた.

 いったい何が書かれているのだろうか.固唾を飲み,開封する.

「え~なになに・・・クロちゃんへ.シャンプーやリンスは私のを使ってもいいよ.というか家にあるものは自由に使ってくれていいよw洗濯や掃除は弟に全任せでかまわないから・・・・」

 ん~・・・ぱっと読んだ感じ,電話で言われたこととさほど変わらないな.

 手紙の他に,アンジーからの餞別のお金が入っていた.どこか遊びに行く時の資金にしてくれだそうだ.

 他は・・・特にないな.確かに手書きでのメモがあれば忘れることはないが,わざわざ手紙に書くことの程ではない.

「これで終了か・・・おや,まだ何かある」

 手紙の中に,さらに小さい封筒が入っていた.

 いったい何が入っているのだろう・・・少し訝しんだが,開けないことには始まらない.シールをきれいに剥がして,中身を取り出した・・・が.

「・・・っつ!こ,これは!!?」